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書道の必需品である「墨」はどう選ぶ?種類や歴史などを徹底解説!

2023年10月16日
書道の必需品である「墨」はどう選ぶ?種類や歴史などを徹底解説!

書道を始める時にまずそろえるものと言えば、筆とすずり、そして墨ではないでしょうか。墨が無ければ文字を書くことはできません。そんな書道の必需品である墨ですが、小学校の授業で使用する液体の墨以外に、固形のものもあることはご存知でしょうか。それぞれ多くの種類があり、それぞれの良さも異なっています。そこで今回は、書道の必需品・墨について種類や歴史などを解説していきましょう。

 

1.書道で使う「墨」とは?

まずは、書道で使う墨について、種類や歴史を紹介します。

 

1.墨の種類

書道で使う墨は、大きく2つに分けられます。材料を練り固めすずりで磨って使う「固形墨」と、液体状にした「墨液」です。

 

2.墨の歴史

日本における墨の歴史がいつから始まったのかは、定かではありません。一説には、文字が伝わったのと同時に墨も日本に伝来したのではないかと言われています。日本の文献に初めて正式に墨が登場するのは『日本書紀』であり、聖徳太子の時代には既にすずりと墨で文字を書いていたことが確かになっています。

 

その後貴重品となった墨は、写経の普及から需要が高まり、日本で新たな固形墨まで開発されるようになりました。日宋貿易の際に水墨画や禅僧の墨蹟(ぼくせき)が伝わると、さらに日本における墨は需要が高まるようになります。このように日本における墨の歴史は古く、生活と切っても切れない存在だったことが分かるでしょう。

 

2.墨の原料とは?

墨の原料には何が使われているのでしょうか。

 

1.固形墨の原料とは?

固形墨は、「煤(すす)」と「にかわ」、「香料」で作られます。にかわとは、動物の皮や骨、腸などを煮出して固めた接着剤です。煤とは物が燃える際に煙とともに出る炭素の黒い微粒子のことで、おもに松を燃やした「松煙」と植物油を燃やした「植物煙」が固形墨の材料となります。

 

松煙とにかわ、香料で作られた固形墨は「松煙墨」と呼ばれます。松を燃やして煤を作る際にどうしても燃焼温度にムラができてしまうため煤の粒子の大きさが均一にならず、重厚な黒色から青灰色までできあがる墨の色合いに幅ができます。

 

菜種油を中心に、大豆油や椿油、ごま油などを燃やした植物煙とにかわ、香料で作られた固形墨が「油煙墨」です。粒子が均一で、色合いに光沢と深みがあるのが特徴です。菜種油煙は赤茶っぽい黒、胡麻油煙は赤っぽい重厚な黒など、使われる植物油によって色合いにバリエーションが生まれます。

 

2.墨液の原料とは?

墨液は、大きく分けて2種類あります。固形墨を水で溶いたものと、カーボンや合成樹脂を使って作られた主に学童用のものとがあります。

 

3.固形墨の良さとは?

ここからは、固形墨の良さやメリットを紹介しましょう。

 

1.墨の伸びが良い

固形墨は墨液と比べて伸びが良く、運筆が軽いと言われています。とくに濃く磨った時の伸びの良さは抜群で、書き心地に大きく影響します。サラサラしているのでスピード感が必要な行草書やかなを書くのにも向いているでしょう。筆を洗う際にも、短時間できれいになります。

 

2.色合いにバリエーションがある

固形墨は、作る際に使われる煤(すす)によって磨った時の色合いに違いがあります。一口に墨の「黒」と言っても、青味がかった黒や赤味がかった黒などさまざまな色合いが固形墨では生まれます。使われる煤から自分好みの色合いを選べるのも、固形墨の良さの1つでしょう。

 

3.濃淡を調整できる

墨液と違い、固形墨はすずりで磨りながら濃さを自分で調整できるのもよさの1つではないでしょうか。どのような文字を書きたいかによって、濃さも調整して見れば表現の幅も広がるはずです。

 

4.墨を磨る時の香り

固形墨にはにかわの匂いを消すために香料が使われています。かつては天然の香料が使われていたものの、現在では合成香料が主流となっています。天然香料も合成香料も、どちらもほのかに香る幽香であり、墨を磨る時間に何とも言えず心が落ち着くのはこの香理にあるとも言われているのです。

 

4.墨液の良さとは?

最後に、墨液の良さやメリットについて解説しましょう。

 

1.安価で入手しやすい

固形墨は製造に手間がかかっていることから価格も高めではありますが、墨液ならリーズナブルに販売されています。児童が学校で使う習字セットに入っているのも大部分は墨液で、文房具店だけでなくスーパーやドラッグストアなどでも売られているので、手に入りやすいでしょう。

 

2.墨を磨る手間がかからない

墨液の最大の魅力は何と言っても、文字を書き始めるのに時間が掛からない点です。墨を磨る手間が不要で、すずりに墨液を出せばすぐにでも文字を書き始められるのです。

 

3.濃さ・品質が安定している

墨液の濃さや品質は安定していて、「今日は思ったより濃かった」「磨りが足りずに薄かった」などということは起こりません。

 

5.まとめ

書道で使う墨には、固形墨と液体の墨液とがあります。どちらもそれぞれに良さがあるので、自分の好みや用途によって選ぶといいでしょう。

 

書道教室を運営する「書道研究 尚美社」では、生徒の皆さんや書道愛好者の方向けに筆や紙、テキストなどの書道道具をネット販売いたしております。墨も各種ご用意しておりますので、ぜひご利用ください。

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